デッカイレールガッ(ry
のーすうっどです。
ここしばらくToWのシナリオ構築を進めていて、数年前から温めてきた構想に肉付けしている過程です。
空対空はもちろん、空対地、空対艦の戦闘シナリオが組み込まれています。味方のヘリコプター部隊を護衛したり、後部機関砲をかわしながら敵の超音速大型爆撃機を追撃する場面もあります。
ところで、当たり前のことですがToWはゲームです。
ご承知の通り、ToWはリアル志向を目指しているので、ビーム兵器を派手に撃ち合ったり宇宙人と戦うことはありません。となると作中のユニットを実在兵器だけで固めてしまうと、ゲームだから許される華やかさや外連味を欠いてしまいますね。
フライトシューティングのプレーヤーはそうしたダイナミックな演出を期待してくださっていると考えています。
そこで、ToWには物語のキーワードになる兵器には実在する兵器をToWオリジナルの仕様にモデファイしたものがいくつか登場します。
ラスボスには「デッカイ!」何かが出てきたりするかもしれませんよ。
ToWのお知らせは、まずここまで。
最後にのーすうっどの動向について。
ToWと並行してSphereEngine絡みでもう一仕事行っています。
どういった内容かはまた今度。
以上です。
バンプマッピングとスペキュラマッピングのお話
「次のエントリーで」と宣言してからしばらく経ってしまい皆様の記憶から遠退いてしまった感がありますが、今回はSphereEngine4におけるバンプマッピングとスペキュラマッピングについてです。
これからバンプマッピングとスペキュラマッピングの2つについて説明を行いたいと思いますが、それに先だってマッピングの言葉の意味について述べておきます。
マッピングとはオブジェクトのモデルデータの質感を表現するために用意された画像ファイルとモデルデータを連係させることを言います。普通はモデルの表面にテクスチャと呼ばれる画像ファイルで色や模様を表現するために行われます。テクスチャマッピングが一切行われていないモデルデータには面の質感に関する情報が与えられないため、表面が真っ白になって表示されます。
余談ですが、こういったモデルは開発現場で「豆腐」や「冷や奴」と呼ばれることがあります。
RSEを含めてSphereEngineではモデルに最低限1種類のテクスチャを用意すればユニットの形と色や模様を表現することが出来ます。しかしこれではモデルでは表現しきれない微妙な凹凸やざらつき、さらには汚れによる光の反射の違いを表現することが不可能です。言ってみればいくらテクスチャで飛行機の汚れや傷、へこみを表現してもユニットとして描写されると表面はツルンツルンに見えてしまうわけです。これでは丹精込めて作ったテクスチャも浮かばれません。
そんな悩みを解決するのが今回説明する「バンプマッピング」と「スペキュラマッピング」です。
バンプマッピングのバンプ(bump)は「へこみ」や「隆起」といった意味で、バンプマッピングでは表面の凸凹やパネルとパネルの間に生じるわずかな隙間などの物理的な質感をバンプマップという画像ファイルを基に表現します。
スペキュラマッピングのスペキュラ(specular)は「反射」という意味で、スペキュラマッピングでは表面のざらつきなど表面の屈折率の違いによる光の反射をスペキュラマップという画像ファイルを基に表現します。
以上がバンプマッピングとスペキュラマッピングの簡単な説明になりますが、この2つのマッピングはSphereEngine4から標準でサポートされる他、現行のモデルビューア「X-Viewer2」に先行搭載されています。
バンプマップとスペキュラマップで光沢と汚れが共存
先日開催されたSEC2011では開発中のSphereEngine4が開発者の電プロさんの手で実演されました。SphereEngine4ではこれまで以上にユニットが美しく、圧倒的な存在感を放つことになるでしょう。
ホライゾン。
今回はちょっとした成果報告です。
昨日はお昼から合計9時間ほどToWの基礎システムに時間を割いていました。
その結果、機銃関連で2つの要素が加わりました。
1つ目は機銃の発砲音がよりリアリティを追求したサウンドになりました。Twitterにも呟きましたが「ドドドドド」といういままでのガトリング砲ではまずあり得ないサウンドから、「ブオオオオオーーー(ヴーーーーーーン)」という「あの音」になりました。
2つ目は機銃の発砲時に銃口から噴き出す火花(私は勝手にガン・スパークと呼んでます)がカメラに付着するビジュアルエフェクトです。まだ挙動が若干怪しかったりするのであくまで実装は未定ですが、見た感じは近頃どこかでよくみるようになったアレです。
Trail of Wings - ガン・エフェクト
2つ目のガンスパークを実装して強く感じたことがありまして。
リプレイ時にHUD以外で表示されなくなる2DスプライトというものがSpE(というか現行のRSE3.5系に今すぐほしい)に実装してほしいなあという点です。
リプレイ時にどう考えても銃口から噴き出た火花が届かないようなポジションやアングルにカメラがあっても問答無用で画面にスパーク効果が現れるのは精神衛生上あまりよろしくありません…。
近頃はEFFYのように独自システムのインジケーターを2Dスプライトで生成してHUDの一部に溶け込ませる演出が多く見られます。これが(1人称・3人称視点以外のHUDが表示されない)リプレイ視点で表示されたままになるのはいただけないと思った次第です。この点は電プロさんに直接お話ししたいと考えています。
SEC2011で展示したToWの裏話とこれから
SEC2011から1週間が経ちました。
SphereEngine関係の皆様のウェブサイトやブログ、Twitterなどを拝見しているとSEC2011に触発されて新たにSphereScriptでミッション制作にチャレンジしたり、創作意欲が駆り立てられたという方を多く見かけました。
かくいう私もSEC2011に参加して創作意欲を強くした一人です。5月初旬にEFFYのコードの可読性の高さに刺激されたのと時期を同じくしてSEC2011開催のアナウンスを見てToWの再起を強く誓いました。SEC2011参加を決意してから2週間ほどでEFFYを参考にしたコードに書き換える作業に取り組み、次の週でゲーム全体のデザイン、シナリオの草案を練っていました。およそ3週間程度でSEC2011で展示するミッションができあがりました。私自身、思った以上にかなり早くできあがったことに驚いています。可読性はメンテナンス性に直結し、ひいては継続して開発を行うことに大きく貢献することを痛感した数週間でした。
ToWの初回リリースから今年で3年を迎えました。ストーリーの構想は有ってもそれをプレーヤーの皆様に納得して頂けるレベルに到達させることができず、これまでのToWは実在ジェット戦闘機ありきのパッケージで、登場人物やストーリーがほとんど無いに等しい状態でした。
今回のToWは昨年末に発表した「"Trail of Wings" the 7th」トライアル版の設定を引き継ぎ、更に「ドラマにこだわる世界観」をスローガンに登場人物が織りなすストーリーを構築しています。パイロットたちが空を飛び続けるそれぞれ理由を追求し、それぞれの思惑が交錯する空をプレーヤーは戦うことになるでしょう。
今回はちょっとだけ、ToWの世界をご紹介します。
アーネスト共和国空軍 第7空軍 パレスブリッジ戦闘航空団 第207戦術戦闘機小隊"SilverWolf"
物語は工業力と経済力に優れたアーネスト共和国と軍事技術が急速に成長を見せるセルベル連邦の狭間で展開されます。主人公はコールサインSilverWolf小隊の2番機として離陸するところからTrail of Wingsの幕が上がります。
SEC2011参加報告
この週末は前回お知らせしたSEC2011に参加してきました。
SphereEngine Conference 2011
http://www.effy.info/event
リナカフェを1日丸ごと貸し切ってのイベントだけあってこれまでのRSEイベントを含めて間違いなく過去最大のイベントでした。
今回はなんと言っても名前の通りSphereEngineに様々な視点からアプローチされている方々の講演が特徴です。
私は14時からの講演で、「Trail of Wingsの歴史 -今のToWはこんな感じ-」というゆるーい内容でおよそ30分、先陣を切らせて頂きました。
講演の様子はUstreamに録画されているのでご覧ください。
http://www.ustream.tv/recorded/15006483
使用したスライドは以下のURLからダウンロード出来ます
http://nrtwd.wakabadou.net/sec2011/SEC2011_projectwings.ppt
講演内容なのですが、講演した張本人よりもいくつかのサイトやブログに書かれているものが非常に分かりやすくまとめられているのでそちらをご覧頂いた方がよろしいかと思います。
・EFFYのような単体動作パッケージを目指す『Trail of Wings』[SEC2011参加レポート(PART1)] - はぐれ士(さむらい)の航空戦観測簿:
http://shikuziri.blog15.fc2.com/blog-entry-692.html
・Rectangle公式ホームページ 開発日記 SEC2011お疲れ様でした。
http://www.rectangle.jp/diary.html
そのほか会場には3DVisionに対応したEFFYの試遊台やCKさんのペーパークラフトなどもありました。
ご来場頂いた皆様、Ustream中継を通してご覧頂いた皆様、ありがとうございました。
久々のスクリーンショットをどうぞ
今回は「グラフィックの話(その2)」を書くはずでした。
でしたんです。
でしたが、
「いい加減、いまToWがどうなってるのか見たい」
という声が聞こえてきそうなので…もとい聞こえているのでちらっとスクリーンショットをお見せします。
※最後に大事なお知らせもあります※
つい数分前のものです。
F-15Cですね。
最大の進化はなんと言っても透明なキャノピを実現したことです。画像からはわからないのですが、中のコックピットにはちゃんとパイロットが搭乗しています。
なんでも、次期RSEことSpE4ではエンジンレベルでの透明なキャノピがサポートされるとか。このあたりはRectangle公式サイト開発日記(http://www.rectangle.jp/diary.html)に詳しい情報がありますので是非。
さて、次にエンジンノズルのグラフィックを強化しています。
今までは円錐形の物体をくりぬいて頂点の部分を切り取ったようなお手軽なもので排気ノズルを表現してきましたが、全体的なグラフィック精度が向上するにつれて最後まで手付かずだったノズルが悪い意味で存在感を放つように…。リファインと相成りました。その差は歴然でしょう。
最後は恒例のテクスチャ製法の見直しです。以前のものは「実戦機の凄み」というものにとらわれすぎた末に、リアリティからかけ離れた単に汚い戦闘機になっていました。
このあたりは数名からのアドバイスや、実際にF-4EJの操縦経験のある航空自衛官の方からお話を伺うなどして研究を重ねた結果、今回のような非常にナチュラルな、それでいて兵器としての鋭利さを兼ね備えた大変存在感のあるものに仕上がりました。
今回は機体ごとに部隊エンブレムやシリアルナンバー、国籍表示などのレタリングも行っていますのでよりハイクオリティなユニットでゲームをお楽しみいただけると考えています。
最後に大事なお知らせです。
大事なんです。
来る5月28日(土)は11時から19時まで、秋葉原にあるリナックスカフェでSEC2011(http://bit.ly/k7T1QR)が開催されます。SphereEngineで開発された3Dシューティングゲームの展示やデモがあり、project WingsはSEC2011にTrail of Wingsを最新の状態で出品します。もちろんあのF-15も操縦できます。
どなたでも入場できるそうなので秋葉原にお越しの際は是非お立ち寄りください。お待ちしております。
金属光沢の話
昨日に引き続いて今度はグラフィックのお話です。
現行のRSE3.5系にはRSE黎明期から「金属光沢」という機能が引き継がれています。この機能はその名の通りモデルデータを描写する際に表面の質感をテカテカにすることでユニットの金属らしさを強調するものです。本来RSEは「Raiders」という架空の軍用機が飛び回る為のものなので武器であるRaidersが持つ鋭利な質感を表現するために一役買っていた機能です。
ToWの制作にあたってはこれがヒジョーに厄介な問題となっていたりします。
ToWそのものはRSEで実在する現代のジェット戦闘機を扱うパッケージです。ToWが世に放たれたとき、RSE用パッケージとして実在ジェット機を売りにしたものはToWが恐らく初めてで(過去に存在していたらごめんなさい!)、当時はそれだけで珍獣扱いされたものです。
次第に制作スキルが向上し精細なグラフィックデータの作成が容易になってきました。戦闘機特有のパネルラインや排気や劣化による汚れなどを再現することが出来るようになると、RSEの「金属光沢」が大きな壁となることがわかったのです。
RSEやSpE4はもちろん、今世紀の3Dゲームの大半はキャラクターなどの形が記録されたモデルデータは本当に形の情報しか記録されていません。なので表面の質感を表現するにはテクスチャという画像ファイルを用いることになっています。ToWではテクスチャに戦闘機の迷彩やパネルライン、マーキング、汚れ等を書き込んでいくわけです。
RSEはこのテクスチャの上から更に「金属光沢」の描写を行うためせっかくの汚れやマーキングなどがテッカテカになって白飛びしてしまうのです。実戦機としての凄みも何もあったものではありません(と私は個人的に考えています…)。
Rectangle公式サイトの開発日記と電プロさんから提供された開発中SpE4によると、SpE4では新たにスペキュラマッピングとバンプマッピングがサポートされることになっています。「金属光沢」問題はこの2つのマッピング方式によって大きく改善されると思われます。
次のエントリではこの2つについて書きます。